江戸末期、福井藩で天然痘と闘った町医者・笠原良策の実話を描いた『雪の花 ―ともに在りて―』を観た。名も利も求めず、ただ人々を救うために尽くす良策の姿に胸を打たれた。
医療が未発達だった時代、異国の知識=種痘を持ち帰るために奔走する彼の姿は、静かながら圧倒的な信念に満ちている。松坂桃李が演じる良策は誠実そのもので、妻・千穂(芳根京子)の支えもまた物語に深みを与えていた。
「名を求めず、利を求めず」――この言葉が映画全体を貫いていた。現代の私たちが忘れかけている何かを、そっと思い出させてくれる作品。2人の演技も良かった。
2025年1月24日公開
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